撮影の裏側
デザインとロケーション
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』の全く新しいパラレルワールドを作り上げるため、最高のアーティスト、技術者、そして職人たちのチームが集結した。
美術デザインを担当したのは、オスカー受賞者デニス・ガスナー。
オックスフォードの大学群から鎧グマ族の住む雪に埋もれた広大な荒地まで、さらには、コールター夫人の住む洗練されたロンドン、北方の港町トロルスンドの雑踏、そして熊族の王ラグナー・スタールッソンの氷の宮殿、そしてライラが誘拐された子供たちを発見するボルヴァンガーまで、幅広い設定の全ての概念を作り上げるために、ワイツ監督との密接な共同作業に取り組んだ。
この映画の深みと領域を一から作り出すために、何百という人の力を必要とした。そしてキャラクターたちと彼らのダイモンたちを完璧に融合させるため、実像とデジタル効果が混ぜ合わされ、同様に、映画タイトルにもある“黄金の羅針盤”であるアレシオメーターをはじめ、ツェッペリン型飛行船、客車、スカイフェリー、鎧熊、スパイバエ、ボート、運搬船、そして想像も及ばぬ機械装置の数々の美術品が作り出されたのである。
「大事なのは変化だ。自分が理解している何かから、異なる世界の何かへ変化させることなんだ」とガスナーは語る。「だから、馴染みのある世界を見ているようだが、ユニークで新しい特徴がある。私が使った言葉に“クラッジング”という言葉がある。それはある要素を別の要素と混ぜ合わせ、何か新しいものを作ることなんだ。混成、あるいは融合ということで、美術的観点から言えば、それがこの映画そのものだということになる。アイデアとコンセプトと理論的物理的環境を融合させることなんだ」
リチャード・ジョンソン、アンドリュー・ニコルソン、そしてクリス・ロウというアートディレクターに率いられたガスナーのチーム、そしてセット装飾のアンナ・ピノック、小道具のバリー・ギブズ、建築主任アンドリュー・エヴァンスが、小説の多様な世界観に命を吹き込んだ。
ジョーダン学寮構築のため、ガスナーはオックスフォード、グリニッチ、そしてチャタムに現存する建築物の外観を使用し、内観はシェパートン・スタジオにゼロから組み立てた。「私は最初、オックスフォードにフィリップ・プルマンと共に訪れた。ガイドしてもらったが、彼はこの大学と街を誰よりも知り尽くしているんだ」とガスナーは回想する。
「一緒に仕事をしてくれる人たちは、本を読んでこの作品に参加した。この小説が好きだから映画にも参加してくれたんだ。監督と私はこの映画の感情的構成について詳細に話し合った。次はそれを作り上げればいいだけだ」
いくつかのセットは、バッキンガムシャーにある格調高いヘザー・ハウスに実際に作られた。「基本的にはその邸宅の構造を利用したが、我々の世界観に適合させるために、いろいろ作り変えた」とガスナーは語る。その他に、最も重要な実際のロケ地となったのがロンドンのパークレインホテルだった。そこを背景としてレストランのシーンや美容院が撮影された。
シェパートン・スタジオが、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』製作のフルスケール施設となり、巨大なサウンドステージは美術班、映画で使用される大量の真ちゅう細工の鋳物(いもの)工房、衣装工房、そしてオフィスで埋め尽くされ、さらに別のステージにはグリーンスクリーンや吊り下げ型の装置が下げられ、骨の折れる作業で作り出された内装品がセットされた。
鋳物(いもの)工房では、この映画の謎の装置アレシオメーターの数々のバージョンが鍛造(たんぞう)された。アレシオメーターは「時刻を示し、磁気を帯びている」とガーナーは説明する。「さらに心さえ持っているんだ。その時代は進化という点でユニークな時代だった。だから我々は時計の仲間に属する磁石を作り出したいと考えた」
プルマンは、その作品のインスピレーションとなったいくつかの工芸品を見せるため、ガスナーを機械芸術博物館に連れていった。「ある意味、アレシオメーターはその全てを混ぜ合わせたものなんだ」とこの美術デザイナーは説明する。「いろんなパーツの総合体だよ。私のチームでたくさんの人たちが、その象徴学、動作環境、そしてライラがどう使うのかを苦労して分析した。それは難問のひとつだった。しかしこの作品で我々は、どんな場合でもピッタリのものを見つけ出そうとしていた」
それらの対象物は、まずコンピュータ上でひな型にされ、その後、コンピュータの3D模型を樹脂からレンダリングする最新鋭の高速原型機で加工された。その模型はその後で磨かれ、彫刻を施され、酸でエッチングされ、細かい色に塗り分けられた。「それらのいくつかは読めなくてはならなかったり、他の物は下げるものだったり、あるいはライラの小物入れに入れて持ち運べるものだったり様々だ」と小道具責任者のバリー・ギブズは語る。「でもその物体上にある錬金術の印は正確でなくてはならなかったから、それらを作ってもらうために彫刻家のところまで足を運んだよ」
熊の鎧も、その熊たち同様に鋳物(いもの)工房で誕生した。彼らの鎧は、その後コンピュータでスキャンできるように、実物大のひな型彫刻が施された。
同じようなひな型が、ライラのパンタライモンからコールター夫人のゴールデンモンキーまで、個々のダイモン用に作られた。しかし、犬のダイモンだけは、訓練された動物によって演じられた。
パラレルワールドの芸術品のデザインは、ガスナーや彼のチームにとって「新しく、興味深く、エキサイティングで刺激的なものとなった。特に、この世界にいざなってくれるライラを演じる少女との作業は、まさにそうだった」
『Emmaエマ』(96)と『L.A.コンフィデンシャル』(97)で2度のオスカー候補となったルース・マイヤーズが、ライラの世界と完全に一致する衣装を作り上げるために、ワイツ監督やガスナーと共に密接な作業を行った。「ワイツ監督と素材の果たす役割について話し合い、生地は、手織りの布や粗い麻布だけじゃなく、見慣れない素材も使ったわ」と彼女は説明する。
「私たちで生地に色をつけたり、プリントしたり、染めたりしたから、とてもユニークなものになったわ。ジプシャン族について話し合い、彼らが全く異なる場所から来たような感覚を与えられるように、いくぶん民族性も打ち出したいと考えた。コールター夫人については、彼女が存在する時代の最もゴージャスなイメージを話し合い、30年代や40年代の映画スターのような感じを出しながら、衣装を発展させていったの」
魔女族の女王セラフィナ・ペカーラの自由な衣装とは反対に、マジステリアルの行政官の衣装は、ライラの世界の権力を象徴する必要があった。ライラの衣装もその変化に合わせて、無作法な洋服からコールター夫人によって大変身させられ、最後には北方で耐えうる衣装まで、成長と共に自我に目覚めていく感覚を正確に反映させる必要があった。
マイヤーズにとってワイツ監督は、反応の良い博識な協力者だったようだ。「クリスはとても洗練された知的な目を持っている」とマイヤーズは語る。「彼は、本当に難しいことを聞いてもちゃんと対処できる監督だわ。文化的背景がしっかりしている人だからこそ、そうできるのだと思う。彼との仕事はすばらしかったわ」
「ルースの仕事は見事だ」とワイツ監督は語る。「その衣装はどんな時代にも先んじる、予想外の融合性を持つ最高の出来映えだ。ルースの仕事は本当に細かい。全てが生き生きしていて、まさにピッタリだという感覚を与えてくれる」
全ての衣装を作成する必要があったため、マイヤーズはシェパートン・スタジオに施設内工房を立ち上げた。「それを可能にする唯一の方法は、美術部門の一部となって、大きな工房を立ち上げることだと考えたから」と彼女は回想する。
メイクとヘアーは、ニューラインシネマの「ロード・オブ・ザ・リングズ」シリーズでオスカーを受賞したピーター・キングに任されたが、彼もまた、パラレルワールドに存在する多数の異なるキャラクターたちに最適な外見を用意した。
4 コメント:
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manami
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M.T
原作を読んで、想像していたよりすごく迫力があります!!
私が考えていたものと一致していた場面もあったので、うれしかったです。 -
nawomi
伸びやかで素晴らしいものでした。みんな、生き生きとしていていました。
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kouhei
原作二巻目に突入しました!やっぱおもしろいです!
自分はまだ学生なのですが、将来は映画をつくりたい(VFX等)と思ってます・・・
この映画はやっぱいいですね。二回も見てしまいました。





この世界観をどういった形で映像として表現するのかとてもきになります!!
原作をそのまま映像化してくれることを期待していたので、予告編をみて、
いまからどきどきわくわくしております♪